月別アーカイブ: 2017年5月

【2017年5月23日】少ないコードで

先日レゲエの話を書いていて、一つ思ったのが、コードの事。

 

昔からレゲエはコード進行が単純なパターンの曲が多く、その使うコードも少ないです。
ルーツ・ラディックスという、レゲエ界では有名なバンドがありましたが、そのバンドはコード2つでほとんどの曲を演奏していました。
だからと言って、その音楽が単調でつまらないかといったらそんな事はなく、とっても豊潤な音世界を生み出していました。私はこのバンドのリズム (ジャマイカ流で言うとリディム) にハマり、このバンドがバック・トラックのレコードを買い集めた事があります。

 

微妙な音程の動き (メロディ) に対応して、コード進行を複雑にすると、メロディはきれいに分かりやすく聴こえるようになりますが、上手くアレンジ・演奏しないと、曲のリズム感やダイナミズムが損なわれてしまいます。

 

世界の国々のポピュラー音楽でコードを一番たくさん使っているのは、今は多分日本人(J-POP)ではないでしょうか? (全世界のを聴いた訳ではないので、単なるカンです)。一番でなくても、5番以内ぐらいには入っていそうです。
日本人は、リズムのノリよりも、繊細できれいなメロディに耳を奪われてしまいがちなので、曲を良くしようとがんばったら、そっちの方向 (凝ったコード進行) にいってしまうのではと思います。良し悪しなので、私も気をつけたいと思っています。
レゲエのミュージシャンは、グルーヴが一番なので、メロディはあまり気にしないんでしょう。

 

コード使いに関しては、ある程度勉強して経験を積めば、かわったコードや面白い進行などで、曲をいろんな風にアレンジ出来るようになります。
ところが、少ないコードで音世界を確立するには、勉強するだけでは無理で、センスがないと出来ません。根本的な音楽性が問われます。
あとこれは私だけかもしれませんが、少ないコードで進行する曲で良いものは、なかなか飽きが来ません。それどころか、聴きこむ程に味が出てきます。

 

ロックでは、以前ブログで上げたニュー・オーダー、残念ながら一昨年に亡くなってしまいました、ルー・リードなど。少ないコードでシンプルだけど奥深く、紋切り形の音楽スタイルを採っていながらその音楽性は唯一無二。私にとって永遠の音楽です。レゲエ同様、死ぬまで聴き続けると思います。

 

 
私のアルバム「Nine Melodies」に収録の「ふたつのコード」という曲。この曲は文字通りふたつのコード「G」と「C」で作りました。サビでもう一つコード「D」が加わります。
歌詞は、ニュー・オーダーの前身バンド「ジョイ・ディヴィジョン」と自分の過去を重ねて書きました。
ジョイ・ディヴィジョンは、殆どの曲をふたつのコードで、危うい内面世界を表現していたイギリスのポストパンク (当時はニュー・ウェイヴと言ってました) のバンドで、ボーカルの方が自殺して解散してしまったのが、今では伝説となっています。

さて私の「ふたつのコード」、私以外の方には、どんな風に聞こえているのでしょうか?

【2017年5月22日】Hit me with music!〜ボブ・マーリーとレゲエ

前回のブログは暑い夜に何気に書いたのですが、読み返して、個人的な長年の疑問について核心をついているところがあり、もうちょっと考えてみました。「音に身を任せる」くだりです。

 
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音楽ってやつのいいところ
それは打たれても苦痛を感じないことさ
音楽ってやつのいいところ
それはいくら打たれても痛くないことさ
だから 俺を打ってくれ
音楽で

 

さぁ俺を音楽で打ってくれ
今すぐに

 

(トレンチタウン・ロック/ボブ・マーリー)

 
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これは、レゲエのレジェンド、ボブ・マーリー、1975年の名盤「LIVE!」1曲目の「トレンチタウン・ロック」の歌詞です。

 

ボブ・マーリーにとって音楽は、「打たれる」もの (原文:Hit me with music) なんですね。
自分の外からヒットしてくるもの(他者)としての音楽、に対する、謙虚で受け身の思いが垣間見える歌詞です。その創作はきっと、自分が創り出すというより、心を開いて、レゲエのヴァイブレーションに乗っかる (と、メロディが聴こえてくるのでキャッチする)、という風だったのではないでしょうか。その音楽を聴いての勝手な想像ですが。
ロックやポップスでよく感じる、「恵まれた才能と過剰な自意識で音や言葉を構築していく」様とは、全く異質な感じがします。

 

「ナチュラル・ミスティック」「ワン・ドロップ」「ジャミング」… ボブ・マーリーには、この曲の他にも、音楽へのリスペクトを曲の要所で歌っている歌が数多くあります。ローリング・ストーンズでいうと、「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」みたいな曲をたくさん作っているという感じです 。(例えが古いですね)

 

ボブ・マーリーに限らず、私にとってレゲエは、子供の頃に遊んだ「なわとび」のようです。ご存知かと思いますが、長いなわの端と端を持った子供が一緒になわをまわして、中で数人がジャンプをする、あの遊びです。(今どきの子どもはするのでしょうか。。)
はじめは自分の意思で跳びますが、ノッてくると、自分の身体が自分の意思で跳んでるのではなく、無意識で跳んでいるようになる感覚。まさに「身を任せる」感覚です。そして、なわをまわしている子との気(ヴァイブレーション)が合わないと、すぐにジャンプに失敗してしまいます。
この辺も、演っているアーティストのリズムやヴァイブレーションが合わないと、聴いていてもさっぱり面白くない、レゲエと似ていますね。

 

このブログはまだ書き足りない事が多い気がします。そのうち更新するかもしれません。

 

 

レゲエのライブが楽しめる「レゲエ・サンスプラッシュ’83」。レゲエのライブ未体験の私にとって、貴重なDVDでした。(過去形なのは、最近はyoutubeでもいろんなライブが楽しめるため)