何と、Yahoo!ニュースのトップ記事に、ヤング・マーブル・ジャイアンツが上がっていました。ヤング・マーブル・ジャイアンツは、ニュー・ウェイヴ期に雨後のタケノコのように湧いて出てきたバンドのひとつです。まさかのYahoo!ニュースのトップです。AI様が私の為に上げてくださったのでしょうか (笑)。
当時のニュー・ウェイヴ・バンドの音の傾向は、ざっくり言うと、エレクトロな音、フリーキーでノイジーな音 (ダブ的なのも含む)、そして、ギター・バンド、です。ハードコアやポジティヴ・パンクは、自分内では別の潮流という事で省きます。
大学時代の数少ない友人に、そのニュー・ウェイヴのギター・バンドをフォローしている奴がいました。私はどちらかと言うとエレクトロ寄りな音が好みで、持ってるニュー・ウェイヴのレコードも、シンセ音主体のばかりでした。なので、ギターのはその友人に片っ端から借りて聴いていました。
そんなギター主体のバンドの中で好んでよく聴いたのが、ワイヤー、そしてヤング・マーブル・ジャイアンツ等を擁したラフトレード・レーベルでした。
実はその頃、既にニュー・ウェイヴのムーブメントは終わりかけていて、イギリスやアメリカのミュージシャンたちは、皆ダンス・ミュージックに向かっていました。この頃のシーンは、まさにドッグイヤーでした。
私が大学1年生の時に聴いた、ニュー・オーダーの「ブルー・マンデー」が当時、画期的に新しく聴こえて、まさにコロンブスの卵のような曲でした。エレクトロニックですがシンプルで、パンクのように下手くそでストレートですが暑苦しくなく、醒めてクールな曲です。もちろん、ダンス・ミュージックです。
私はニュー・オーダーや、当時ニューヨークから突如現れたヒップホップを聴きつつ、その友人には「もうニュー・ウェイヴは終わった」と言いながらも、友人のニュー・ウェイヴのレコードを借りて聴いていた訳です。ムーブメントは終わっても、遺産はちゃんと遺されているという事です。
「ブルー・マンデー」や、ワイヤーやヤング・マーブル・ジャイアンツの、何処が聴きどころだったかと言うと、それらの音楽は全て、ごく普通の人である自分と地続きに聴こえたからです。
よく、パンクは楽器を弾けない人をも表現に駆り立てたと言われますが、パンクは先ずエネルギーがないと出来ない音楽です。叫ぶエネルギーが予め失われている私には、とても手の届かない音楽に感じます。あと、PーMODELやYMO等のテクノは、音楽的素養や才能が備わってないと出来ない音楽に感じました。ゲイリー・ニューマンやデヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージックは、ハナからレベルが違います。
そんな訳で、自分でも何かやれないかと考えていた大学生だった私は、これらのバンドを特に熱心に聴いていたのではないかと。(もちろん言うまでもなく、ニュー・オーダーもヤング・マーブル・ジャイアンツも普通の人たちではなく、とんでもなくハイセンスなバンドです、念の為)
記事を閲覧したあと、思わずYouTubeで「コロッサル・ユース」(‘80年) を数十年ぶりに聴きました。印象は全く変わらず聴こえます。
下手でもセンスがなくても堂々と演るミュージシャンが増えたのが、ニュー・ウェイヴ・ムーブメントの最大の功績だったのではないかと、私は思います。今更ながら、ニュー・ウェイヴの洗礼を受けていなかったら今の私はないなあと、つくづく思います。
ニュー・ウェイヴの息の根を止めた?「ブルー・マンデー」12インチ・シングル。