結局「メモリーズ」「光陰」共に、AIによるマスタリングを行った後に、もっと良くなるんじゃないかと思い、ミックスレベルに戻って若干手を加えてみました。
その最新のミックスを、再びAIでマスタリングした後、更にそれを自分なりに手を加えてみました。完成したその音を聴いて、今までの自分のスキルだと手の届かなかったサウンド・デザインが実現したような気がしました。
実現というと大袈裟ですが、今まで入れた音がちゃんとイメージ通りに最終的に表現出来ていなかった事を思うと、かなりの進歩です。しかも、PC作業に疎い私でも出来たぐらいです。革命的ソフトと云われるだけの事はあるなあと。
使い始めて数日で、このレベルです。ちゃんと使いこなせたら、もっと良くなるんじゃないかと、モチベーションも大きくアップしました。
ところで作業中に、作業以外の事柄でふと思った事があります。それは、職業としてマスタリング・エンジニアをやっていらっしゃる方々の需要が、こうした安価で秀れたソフトの普及により、かなり減るのではないか、という事です。(書いた後調べたら、実際減っているそうです)
音の出口まで自分で管理出来るのは、はっきり言ってミュージシャン冥利に尽きるのではないかと、私は思います。歌やメロディ、演奏のみならず、ミックスやマスタリングでも「自分らしさ」が表現出来るからです。
思い出したのは、以前どこかのサイトで観た、AIによって今後携わる人が減っていく職業、です。銀行員や会計士、レジを打つ人…等、いろんな職種が挙げられていました。
しかしながら、幾ら銀行員が減っても、銀行の数が減っても、銀行自体は無くなることはないでしょう。レジを打つ人も、現在では自動レジの監視員という形で、減りつつもゼロではありません。
なので、職業としてのマスタリング・エンジニアも、減りはしてもゼロにはならない筈です。どういった形で仕事をして生き残っていくのか私には想像がつきませんが、ひとつだけ言える事があります。それは、アナログ・レコードのカッティング・エンジニアです。
アナログ・レコードの再普及に伴い、これから狙いどころではないかという気がしますが、実際はどうなのでしょうか。
こうして見ると、私が手を加えた音源は、AI推奨の音域 (ぼんやりとした帯の部分) から逸脱しているのが分かります。それこそが、ヒトの個性、と思いたいです。(単に耳がわるいだけだったりして…)