トランペットのファンファンがくるりを脱退しました。
たまたま食後にYahoo!ニュースを観てたらこんな記事が。慌ててくるりの公式サイトを観たら、やっぱりそのニュースが上がっていました。
おそらく、ファンの誰もが思いたくないけど大なり小なり心に思っていたことが現実になった、そんな複雑な感じです。
以前当ブログ記事に「くるりは昔のUKプログレ・バンドのよう」 (2018 3/17) (←クリックで読めます) という記事を上げたことあります。
その中から引用。
くるりはある意味岸田さんのワンマン・バンドなのですが、自分のコントロール下にメンバーを置くのではなく、あくまでも対等に、理想とする音楽を他者の力と共に求めていく、そんなイメージです。メジャーな日本のバンドだと珍しいかもしれません。
岸田さんはおそらく、バンドというのは火花が散るような化学反応こそが最重要なのだと信じている人なのでしょう。なので過去、それこそメンバーが大きく変わる度に、音楽性も大きく刷新した傑作アルバムを産み出すことが出来たのでしょう。そのようなことを、イギリスのバンド、キング・クリムゾンを引き合いに出して書いていました。
ファンファンが加入した後、そして東日本大震災の翌年、2012年「坩堝の電圧」をリリースしています。このアルバム全体の解放したトーンを決定しているのが、ファンファンの奏でるトランペットの音色です。高らかに鳴るラッパの音に、当時の私は心を洗われました。
トランペットの音色は昔から何故かバンド・サウンドと相性が良くないようで、ホーンセクションではなくソロのトランペッターがいるロック・バンドというのはあまり聞きません。あまりというか、私の知る限り、くるりのみです。(いや、私が知らないだけかもしれませんが)
そのトランペットの音色とロック・サウンドとの合わなさを逆手に取ってプラスに転じたような (ちょっとハズすとダサく聴こえるような) アレンジを、くるりはこのアルバムで試しています。そしてそれは見事に成功していると感じます。
これはひとえに、ファンファンがそれほどテクニックに拘らないトランペッターだから、成功したのではないか、そう思います。
あれから9年。袂を分かち合うことになりましたが、くるりもファンファンも、それぞれがそれぞれの音楽を思いっきり鳴らして欲しいです。両者の新たな門出に乾杯です。
その「坩堝の電圧」を聴きながら。