数日前に、村上春樹さんの長編小説「街とその不確かな壁」が発売されたのを、Yahoo!ニュースで知りました。以前に書きましたが、私は「海辺のカフカ」を最後に、村上春樹さんの長編小説は読んでいません。村上春樹さんのに限らず、小説を読むのは老後の楽しみにとっておこうと思ったからです。
しかし、この「街とその不確かな壁」。タイトル買いしようかと思った程です。村上春樹さんの小説の世界を、テーマを、ズバリ一言で表すならこれなんじゃないか。それぐらいに身も蓋もないタイトルです。
村上春樹さんの長編小説 (「海辺のカフカ」までの話。念の為)」は、現実世界と心的世界がはっきり分かれているという事もなく、ごっちゃに進行します。オチもはっきりしません。でも決してSF小説、ファンタジーではありません。それが、面白いところです。
メガネの度数をちょっと変えただけで、全然違って見えるこの世界。好きな事をしている時、好きな人と会っている時、過ぎるのはあまりにも早い時間。その逆だと、5分経つのが遅いこと、遅いこと…。
つまり私たちが「現実」と思っている世界は、きっちり・カッキリと決まっているものでは全然ないという事です。そんな「現実」を言葉で表現しようとすると、村上春樹さんの長編小説のような、グニョグニョ・ウネウネとした世界になるんじゃないかなと。
それはまるで、音楽が顕す世界のようだなあと感じます。