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【2018年5月23日】久しぶりに音楽の本に触れました 〜 「倍音」中村明一 著

音楽評論や音楽エッセイなどを読まなくなって久しいのですが、書店でふと見かけたこの本のタイトル「倍音」に惹かれて手にとって、中を少し読んだところ、最近私が考えているようなことの答えが書いてあるように思えて、思わず購入しました。

 

 

世の中、同じようなコード進行で似たようなメロディの歌がたくさんありますが、心に響く歌と響いてこない歌があります。もちろん個人差はありますが、響く歌は個々人の嗜好性を越えて集合無意識的にたくさんの人々の心に響きます。
一般的には、それを「音楽家の才能」の一言で片づけられているのですが、この本では、その理由を音響的な観点から論じています。

 

 

かといって、難しいことが書いてある訳でもなく、誰もが身に覚えのあるエピソードを織り交ぜながら、実に分かりやすく論じています。特に音楽に興味がある訳でもなく、日本文化についての本などを読みたい方などにもオススメします。(オビで、哲学者の内田樹さんも、そのような意図で推薦文を書かれています)

 

 

第4章「日本という環境・身体・言語」、第5章「日本文化の構造」では、音と言語、しいては文化との関係についての深い考察が述べられており、私が以前ブログで書いた、稚拙な疑問 (4月21日「音と言語 (の発声) に、因果関係がありそうです」(←クリックで読めます) の解答のひとつともなるべきことが書かれています。

 

 

こんな面白い本はひとりで満足してしまうのはもったいないと思い紹介しました。まだ全部読んでいませんが、おそらく数回読み返すような気がしています。
ソフトをインストールしたPCが届くのは約2週間後とのことです。PCソフトでの音楽制作に活かせたらと思います。

 

 

【2018年5月22日】ローリング・ストーンズがツアー開始 〜 ストーンズのグルーヴの秘密はどこに?

 

 

メンバーは全員70代。この歳でのツアーは凄いとしか言えません。私もこんな年寄りになりたいものです。
YouTubeで近年のライブの様子が上がっていますが、それを観ると、他のビッグ・ネームのアーティストたちは、既に懐メロ歌手・バンドと化しているのですが、ストーンズは懐メロにはなっていないのがよく分かります。音楽性は30年、40年前から全く変わっていないのですが、それでいてマンネリ化もしていません。何ででしょうか?

 

 

この記事によると、ライブの一曲目は「ミス・ユー」だったそうです。「ミス・ユー」と言えば、パンク・シーンに触発された、ロックンロール・アルバム「女たち」のオープニング・ナンバーです。
この曲はよく「ディスコに接近」と言われましたが、この曲とか、この次のアルバム「エモーショナル・レスキュー」の一曲目「ダンス」など、私には気怠いファンクにしか聴こえませんでした。どこがディスコ?てな感じです。前のアルバム「ブラック・アンド・ブルー」のオープニング「ホット・スタッフ」もそうです。
同様に、アルバム「女たち」のロックンロール・ナンバーもどこかしら気怠く、パンク・バンドのロックンロールの性急さと全然違います。どこがパンクに触発?てな感じがしました。

 

 

思うに、この頃既にストーンズのグルーヴはとっくに確立されていたのだと。アルバムでいうとベガーズ・バンケット、曲でいうと「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」ぐらいの頃でしょうか。’60年代終わり頃です。

 

 

それ以降のストーンズ独特のグルーヴは、どんなスタイルの音楽を演ろうが揺るぎないものに聴こえます。そして、音楽スタイルではなく、そんなタメやタイム感を、歳をとるにつれてどんどんと突き詰めていっている感じがします。音楽スタイルを極めていく (=マンネリ化しやすい) のではなく、その瞬間その瞬間に出す音を極めていく。まさに居合の達人が技を極めていく、そんな過程を見せられているようです。そんな殺気が続いているので、決してマンネリ化して聴こえないのではないかと。
16ビートのファンクを演ろうが8ビートのロックンロールを演ろうが、この緊張感がある限り、ストーンズとしかいえない独特のタイム感が感じられる訳です。

 

 

私はストーンズのライブを体験したことはありませんが、実際にライブだと魔法にかかったように、ストーンズ・グルーヴにやられそうな気がします。日本にも来ないかなあ。